私の初めてのアルバイトは建設現場でした。将来的に土木・建築にかかわる可能性が高いので、建設現場の業務を一回体験してみようと思い、大学在学中に働きました。
この仕事は、派遣会社を通しての仕事でした。派遣会社というのは、仕事を求めている人が、人材派遣会社に登録して、その派遣会社が仕事先を選んでくれて、各仕事場に送り込まれます。派遣会社に登録すること自体は、簡単にできてほぼ拒否はされないと思います。
登録後に、初出勤日になり、その選定先の建設現場に行きました。現場は15階くらいのマンションの建設現場で、ほぼ建物の外側は完成しており、残りは内装作業が中心のようでした。
送り込まれた仕事現場に、同じ派遣会社に登録して、同じように送り込まれた先輩がいたので、その先輩と組まされて一緒に仕事をすることになりました。注意事項の説明を受けたため、他の人より30分ほど遅れて現場入りしました。しかしその先輩には一緒に組むことも30分遅れることも派遣会社からは伝わっていませんでした。そのせいもあるのか、「よろしくお願いします」と言ったら「めんどくせーな」と返されました。
「掃除しろ」とだけその先輩から指示され、とりあえず仮設足場の掃除をすることになりました。15階から順に下に掃除していくと、12階で床にモルタルを塗っている人に話しかけられました。「絶対こぼさないで。それか下の足場からやって。」と言われました。絶対にこぼさないというのは不可能だから、返事をしたあと、どうするかを数秒考えていたら、「あームカつくなあ!!」と突然その人が大きな声で叫び、直後に携帯電話を取り出し、誰かと電話を始めました。上の人に指示をあおいでくれたようで、その階付近を飛ばして掃除することになりました(これは助かりました)。しかしみんな気が立っていて怖い感じの現場です。
下の階の掃除に向かうと、何かを床に塗っている人がいたので、「すいません、こっちもやるんですか?(塗るんですか)」と話しかけると、顔を上げて目が合いました。25歳くらいの若い人でした。しかしすぐ下を向きました(完全に無視されました)。5mくらい離れた所にいた50歳くらいのおじさんが「ニスを塗る」と言ってくれたので、そこも飛して掃除をすることにしました。無視をする人もおり、なかなかコミュニケーションが難しい現場です。
作業開始1分で上の階から大きめのボルトが落ちてきました(顔に当たったら怪我をするような早さで)。喫煙所は1階なのに、あらゆるところに煙草の吸い殻が落ちてました。釘やカッターの刃がそこら中に落ちていて、地震があったらと考えると本当に危険だと感じました。(ちなみに東京都内ではありますが、東日本大震災から1年もたっていない時期だったので余震が怖かったです。)「ああああもう!!」など色々な場所から叫び声も聞こえてきました。
掃除が一番上の階から下の階まで終わりました。しかし、若干時間が余り、近くに先輩もいなかったので、私が掃除した階で何か大きなゴミが落ちていたらそれを理由に怒られそうだと思い、すべての階を改めて軽くチェックをしました。最上階で先輩がくつろいでいました。
その後、時間通り先輩との集合場所に行き待っていると、1つ上の階で、先輩と現場のトップの人が話し込んでいるのが聞こえてきました。先輩が現場トップの人に「何もしない。掃除もやらずに遊び回っている」などと私のことで完全に嘘を吹き込んでいました。さっき私が最上階までゴミの確認に行ったのを先輩が見ていたので、そのことを捻じ曲げて伝えているようでした。さすがに事実と異なるので急いで上の階に駆け上がり、「先輩探してました。見つからなくてずっと上まで行きましたよ!」と明るく言うと「あはは、上まで来たのか」とにこやかに返されました。現場のトップの前では終始にこやかで温厚でした。
しかし、直後に(1分もしないうちに)二人きりになり、「掃除道具どこに返すんですか?」と聞くと、態度が急変し、「だからさっき言っただろ!!」「元の位置に戻すことはどこの現場でも同じ!」と激怒されました。元々誰かが使った途中で、足場の上にあったので、元の位置を聞いていないわけです。最初にトイレの位置を聞いた時「全部一階!(怒)」とだけ言われたので、その一言で掃除道具の場所の説明もなされていたのかもしれないのですが。一階のどこに掃除道具入れがあるのかもわかららず、そしてまた質問することになります。
このように、質問に対して普通に返答を返されることは一回もなく、ずっとキレられて、怒鳴られ続けました。そもそも何をするか説明されない、もしくは説明が少なすぎるため、聞くしかないんですけど、回答も短いので(単語一個とかなので)、さらに聞き返してそのたびに大声で怒鳴られる。ものすごく遠回りです。これを一日中ずっと繰り返していました。
最後に資材(鉄パイプ)を運ぶ作業をしました。どこに運ぶのか聞くと「5階!全部5階!」と怒鳴られました。1階においてある鉄パイプを5階の部屋まで運び上げる作業でした。部屋内部は土足禁止なので靴を脱ぎ、鉄パイプを部屋の中にキレイに並べて、部屋から外へ出ようとすると、私の靴がなくなっていました。治安が悪すぎて誰かに盗まれたかと思ったのですが、4~5m先に私の靴がありました。2回目の運び入れでも並べたはずの靴が同様に遠くに飛ばされていました。3回目の運び入れでわかったのですが、なぜか先輩が、自分が靴を履くついでに私の靴を遠くに蹴っ飛ばしてたのです。いったいどういうことなのかわからず恐怖を感じました。置く場所が悪いという意味なのかもしれないですが、何も言わずに蹴っ飛ばしているし、何をされるかわからないので私の靴は隠すように別な場所に置くことにしました。
暴力を振るわれることなく無事に帰っては来れましたが、もう二度と建設工事現場での土木作業には入らないと決意しました。こんなに面と向かって怒鳴られ続けるという経験等はなかったので、そういう意味では貴重な経験ではあったと思います。